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コラム Column
アメリカ生活 役に立つ法律知識
04/23/18
アメリカでの特別支援教育
--- 初めに ---
英語に問題のない親御さんにとってもIEP((Individualized Education Plan)日本では個別指導計画や個別教育支援計画と言われるものに当たります)やIDEA(Individuals with Disabilities Education Act(連邦特別支援教育法))、FAPE(Free Appropriate Public Education (適切な無料公教育))をきちんと理解することは大変根気のいる過程です。ましてや、学校とこまめにコミュニケーションをとって、スムーズに協力していくことは簡単ではありません。当事務所弁護士も障がい児を育てている一人です。アメリカで障がい児育児に頑張るママとパパのお手伝いが少しでも出来ればと願っています。
* * *
IEP(個別教育計画)はSpecial Education(日本では特別支援教育と呼ばれる)が必要と見做された子供達一人ひとりに作成されるものです。
IEPを管理する連邦法をIDEAと呼びます。IDEAとはIndividuals with Disabilities Education Actの略ですが、2004年にその法律を改正し、Individuals with Disabilities Improvement Education Actが施行されました。
IDEA に組み込まれた7つの主な方針
- Fair Assessment and Evaluation(公正なアセスメントと評価)
- Free Appropriate Public Education(FAPE(ちょうどいい無料の公教育))
- IEP(個別教育計画)
- Least Restricted Environment (LRE(制限を最低限にした環境))
- Informed Consent(十分な説明を受けてからの合意)
- Procedural Due Process Safeguards(手続き上のデュ―プロセス保護措置)
- Parental/Student participation in the decision-making process(親御さんと生徒本人の決定プロセスへの参加(IDEAは生徒が16歳になれば毎年IEPミーテイングの告知を生徒にもしなければいけない義務があるとしています。カリフォルニアでは適切であるとみなされれば、14歳からミーテイングのあることを生徒に知らせなければいけません。
まず、初めに、アセスメントと評価の結果により、お子様が特別支援教育が必要かどうか、受ける資格があるかどうかを判断されます。お子様が3歳になれば、住居のある学校区が(ということはどの学校区に住むかによって、サービスにも差がでてきます)サービスの責任を郡から受け継ぐこととなりますので、このアセスメントで、親御さんが予想された結果と違うと、受けられるサービスにも影響があり、更には最悪、サービスは必要なしと見做されてしまうわけです。
そして、程よく進歩を遂げられるように作られた教育ゴール(IEP Goals)を作成するのも、その結果次第です。今、どの基準を満たしており、1年後にはどこまで達成できるのか、そして、そのゴールを達成させるために、どのようなサービスや補助器具(Technology Assistant含む)を学校区が提供するべきかということもアセスメントや評価の結果によります。
また、お子様に適したプレイスメント(最小限に制限される環境に配属されるべきだけれど、学校区の提供しているどのクラスが適しているか)を決定するのもアセスメントや評価の結果によります。
さて、アセスメントや評価は毎年のIEPミーティング前、そしてTriennial Evaluationといって、3年毎に、普段は行われない心理テストやもっと細かいアセスメントが行われます。しかし、お子様の態度や学力、また学校の対応に問題がある場合、アセスメントをしてほしいと思ったとき、学年の途中でも、してもらえるのでしょうか?
答えは、YESです。親御さんのリクエストがあれば、学校区はいつでもアセスメントを行わなければいけません。もちろん、本当に不可欠なアセスメントのみです。学校での態度に突然変化であった。突然、学校での成績が落ちてしまった。など、明らかに再アセスメントが必要なときということです。
手続きや流れは以下の通りです。
- アセスメントを学校区に始めてほしいときは、書簡でリクエストを送りましょう。メールで結構です。でも、自分にも同時に送っておくことをお勧めします。送信した証拠として。
- 学校区はリクエストを受け取った日から15日以内(週末、祝日を含め)にアセスメントの計画を親御さんに提出しなければいけません。
- 親御さんが英語が苦手であれば、学校区は日本語でその計画を親御さんに伝える義務があります。IEPプロセスは希望すれば全てお子さん、親御さんの母語で行われる義務があります。
- その計画に親御さんの同意署名がなければ、アセスメントは始まりません。
- リクエストを受け取った日から60日以内にそのアセスメントを行わなければいけません。
- 学校区はアセスメント終了後、書式で結果を親御さんに伝えなければいけません。
その結果によって、新しくIEP Goalsを作ったり、1:1のAide(加配)を付けたり、また、違う補助の仕方をIEPミーティングで探っていくこととなります。すぐには結果が出ないプロセスですね。
では、アセスメントの結果に親御さんが納得いかないときには、どうしたらいいのでしょうか?例えば、親御さんは、ご自分のお子様が出来ないことをアセスメントでは出来ると見做された場合(つまり、その分野には助けが必要ないと見做されてしまった場合)どうしますか。
学校区のアセスメント結果が納得できない場合
まず、学校区の結果とその他のデータを比べてみましょう。私費ではらっているセラピーなどのデータがあれば、とても役立ちます。また、私費のセラピストに学校区が提示してきた結果を見せてみることも大事です。第三者の立場で見てもらうことは大切です。
それでも、結果が納得いかなければ、親御さんにはRight to obtain an Independent Educational Evaluation (IEE)があります。
つまりは、独自の教育評価をしてもらう権利です。学校区とは関係のない専門家に納得のいかない分野のテストのやり直しをしてもらう権利です。
しかし、学校区側にも2つオプションがあるんです。
- 親御さんのアセスメントやり直しのリクエストを受け取って、IEEを公費で行うこと(アセスメント毎に1度のみ学校区が公費で払ってくれます)。
もしくは、 - 学校区が提供した結果が納得できるものだと見做した場合は、リクエストを拒否し、Due Process Complaintを提起出来ます。つまり、裁判(とはいえ、通常は調停といって、裁判になることを避けることが多いです)になります。
もし、学校区の対応が2番目のオプションだった場合、親御さんは、自費でIEEを行い、裁判官に提出することも出来ます。が、法律上拘束力は全くなく(裁判官も無視することが出来ます)、学校区は親御さんが独自に入手したIEEに記されたことに従う必要は全くありません。
ですので、IEEをリクエストするときには、どうして納得できないかをきちんと証明出来るように、他のセラピーや学力データや証拠(教室への観察ノート、先生からの毎日の報告など)をきちんと集めることが大切になってきます。
当事務所では1時間毎のコンサルテーションをご提供しております。他のSpecial Education Attorneyのような高額なRetainer はございません。弁護士料は前払いとなっております。1時間毎のコンサルテーションですので少しだけ質問があるというときに、お気軽にご利用いただくことも可能でございます。
またIEP見直しサービスといたしまして、3段階のサービスをご提供しております。
- ステップ1:お客様にご記入頂いた質問表とお子様のIEPのみの見直しをさせていただきまして、書式でどの部分をどのように改善できるのか指摘させていただきます。
- ステップ2:お客様にご記入頂いた質問表とお子様のIEPとBIPのみの見直しをさせていただきまして、書式でどの部分をどのように改善できるのか指摘させていただきます。
- ステップ3:お客様にご記入頂いた質問表とお子様のIEP、BIP、と一番最近行われた評価の結果書類を全体的に見直し、結果がIEPに反映されているのかどうか、改善するべき点があるのかを書式にて指摘させていただきます。
上記見直しサービスをご利用いただいた方のコンサルテーションは1時間ごとの弁護士料は50ドル割引とさせていただきます。