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コラム Column

日米の年金と国籍

海外年金相談センター 市川俊治

海外年金相談センター 市川俊治

カテゴリー:年金・保険

日本の年金を1本化して送金して!!

 長年日本の年金受給者を苦しめてきた「国民年金へのWEP誤適用」問題は

皆さんとの努力で2022年無事解決することが出来ました。

今回の決定は、将来の支給額が是正されるだけではなく、過去の誤適用分についても是正されるので還付金が既に届いている方もいらっしゃると思います。

いずれにしてもWEPによる減額の対象となるのは老齢厚生年金だけです。

老齢基礎年金(国民年金)は対象外です。

 

さて、次に海外にお住いの日本の年金受給者にとって改善すべき点は何かを考えた時、その一つに送金の1本化による負担費用の軽減による実質年金額の増加を計ることであると思います。

 

日本の年金の振込先を米国の銀行口座に指定した場合、銀行でハンドリングチャージ(Handling Charge取扱手数料)として約15ドルから20ドルをとられます。日本の年金は偶数月に年6回振り込まれますので、年間20ドル×6回=120ドルの出費となります。

 

65歳以降は老齢厚生年金と老齢基礎年金の2本立てとなり別個に振り込まれますので120ドルの出費は倍の240ドルとなります。ご夫妻で受給しているご家庭は480ドルの負担となってしまいます。また、日本の銀行とアメリカの銀行で直接送金できない場合(コルレス関係がない場合)、中継銀行を通すことになるのでさらに仲介手数料がかかることになります。

 

銀行でハンドリングチャージを課すのは止むを得ないのですが、問題は日本から送金する場合、老齢厚生年金と老齢基礎年金を個別ではなく纏めて振り込めないかということです。これにより費用負担を半分にすることが出来ます。

 

ハンドリングチャージの問題は米国にお住まいの年金受給者に留まらず、海外での日本の年金受給者共通の問題です。日本国内の受給者は1本に纏めて振り込まれています。年金は終生支払われ、更に遺族の方に引き継がれるものです。

因みに、2021年末の厚生年金海外受給者は12,254人、国民年金海外受給者は39,614人でした。

 

わずかな金額と言えども通算では大変な額になりますし、そもそも海外の年金受給者の年金額は日本にお住まいの方と比べれば小額の方が大半ですからその負担額は決して小さなものではありません。改善を求める受給者からの声も従前から伺っております。

 

以上の状況を踏まえ是非とも早期の改善を実現すべく、本件の窓口である厚生労働省に申し入れを行ないます。本件は、日本の行政の裁量で改善できるものです。その結果は当紙面を通じてご報告させていただきますが、状況によっては皆さんのお力をお願いすることも想定されますので宜しくお願い致します。

日々の暮らしで不都合に感じることを一つ一つ改善することにより少しでも暮らしやすい生活を実現していきましょう。